「わたしが住みたい住宅をあなたのために」をコンセプトに家づくりをされている建築家の樋田和彦先生。
今号では、練馬区O邸の事例を通して、先生のこだわりをお伺いしました。
今号では、私が設計をした練馬区のO邸の事例をご紹介致します。
クライアント様は、会社役員をされている旦那様と営業ウーマンの奥様、
設計当時20代で、すでに独立されていたお子様3人の5人家族。
今まで住んでいた家の建て替えで、ご要望は白い家と、敷地内に貸し駐車場をつくりたいという2点でした。
敷地内のバス通りに面した場所に、緩衝帯にもなるように駐車場を配置。
その隣に玄関を設け、バス通りからの視線を遮るための塀も取り付けました。
建物に関しては、白系プラス「わたしが住みたい住宅」というコンセプトの中の一つでもある、
外から帰ってきた家族がホッとできる家をめざしました。
その一つが、玄関から奥に設けた裏庭まで続く、幅1.2m、長さ3mくらいのアプローチ。
建物の中でありながら、渋谷の裏通りのような雰囲気もあります。
そこで一日の仕事の気分転換をし、お子様は1階の各居室へ、ご夫婦は階段を昇って主寝室へ行くという動線です。
2階には、LDKと主寝室、そして予備室と水回りを配置。
リビングと階段スペースの間には窓を設け、旦那様が遅く帰ってきても、リビングにいる家族が窓越しに挨拶ができるようにしました。
逆にリビングに来客がいるときには、主寝室から予備室の前を通ってバスルームやキッチンへと行ける裏動線も用意。
▲玄関
▲階段部分
また洗面と洗濯室の隣にキッチン、さらに隣に洗濯物が干せるバルコニーを並べ、
忙しい奥様の家事動線にも配慮しました。
もう一つ、リビングがこの住宅の中での公園のようなパブリックスペースというイメージで、
天井に長いスリットのトップライトを設け、日時計のように陽が注ぐ変化を楽しめるようにもしました。
10年近く前に建てた住宅ですが、昨年お伺いした際、気に入っていただいているのか、
新築のときとまったく同じ状態で住んでくださっていたのが、とても嬉しかったですね。
O邸の場合は、敷地にゆとりがあったので、部屋数を多く設けることができましたが、
都心ではそれが難しいケースもあります。
クライアント様の中には、何部屋、何畳必要なのかを気になさる方がたくさんいますが、
私はどんな生活をしたいかという希望と、広さの数字はまったくリンクしないように思うのです。
経済面から見れば、たとえば家族数が減ったときに壁を壊して部屋を広げるよりも、
逆に増えたときに家具や壁を設けて部屋を仕切ったほうが低コストです。
注文住宅なら、長いスパンでの家族構成の変化も考慮したフレキシブルなご提案もできます。
家づくりを考えている方は、広さの数字にはこだわらずに、
理想の暮らし方のイメージを話すことから、始めてみてはいかがでしょう。
◇ ◇ ◇
みなさんも隣のページの土地情報をご覧になって是非ご検討下さい。
掲載日:2010年6月30日